0001 現行の「上皇」呼称について
皆さんは御覧になったことはあるだろうか。これがURLである。↓
宮内庁「天皇系図」<https://www.kunaicho.go.jp/about/kosei/keizu.html>
この系図を見て、違和感を覚えないだろうか。
そう、敬称「陛下」が、「上皇陛下」にのみ付されているのである。
なぜこのようなことが起きたのか考えてみたいのだが、それは単純明快であろう。
所謂退位特例法の第三条の規定により、「退位」した天皇を「上皇」としたからである。
二文字では気持ちが悪いと思ったのか、四文字にすべく「陛下」を付したと考えられよう。
在位中の天皇には「今上天皇」「今上陛下」「天皇陛下」「今上」「当今」「主上」など様々な呼称があるが、系図上「今上天皇」とされ、敬称である「陛下」は付されていない。もし「上皇陛下」に合わせるならば「今上陛下」「天皇陛下」などとするのが良いだろう。
上皇に敬称が付き、今上天皇には敬称が無いのは、「上皇陛下が上なんだ!」のような、(でっちあげられた)二重権威問題に利用されまいか。
そもそも、養老令の儀制令第一「天子条」*1に規定されている通り、譲位した天皇は太上天皇である。あくまでその略称が上皇なのだ。上皇と言う語が定着こそすれ、略される前の語を用いるのが良いと考える。
ここでこの系図中の「上皇陛下」を「太上天皇」としたらどうだろうか。
(前略)―仁孝天皇―孝明天皇―明治天皇―大正天皇―昭和天皇―太上天皇―今上天皇
歴代天皇と並び、即位されていない皇族方を除き下方二文字が「天皇」の語で統一された美しい系図が完成する。
系図は「図」である。美しくなければならない。それを構成する線分も文字もその例外ではない。系図一つとっても、やはり「太上天皇」と表記し、それを正式の名として定めるのが良いだろう。
言いたいことは、法律上において「上皇」ではなく正式名称の「太上天皇」とすべきだということである。
例えば、
「譲位した天皇を太上天皇といい、上皇と略称する。」
こういった文言がかの特例法にあればよかったのではないか。こうすれば、普段は「上皇陛下」(報道機関は「上皇さま」か)と称せるし、公式の文書では「太上天皇」と記載される、ただそれだけのことである。太上天皇陛下の御存命中に正式名称としての太上天皇号の復活を甚く望んでいる。
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